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店主まーちゃんがゆく 世界ワイナリーリポート

ドイツ モーゼル・ライン レポート

ドイツ モーゼル・ラインを、店主まーちゃんがゆく...その2


●モーゼル2日目 銘醸JJプリュム家へ!

ドイツ到着1日目は「ヨハン・ハールト家」「シュロス・リーザー」「ヴィリ・シェーファー家」の3蔵を廻り、試したワインは約30本。その夜はツェルティンゲンのホテルに泊まり、晩ご飯もそこで食べました。グラスワインを頼みましたが、「・・・おいしくないっ!」まあ、仕方のないことです。昼間散々あれだけの一流ワインを飲んだ舌には、味の差は歴然としていました。

ツーショット横

さて、翌日。約束の朝9時半、JJプリュム家当主のプリュム氏が自ら運転する 車でお迎えにきてくれました。ドイツきっての銘醸家、「黒塗りのベンツでお迎えかな?」(貧相な日本人な発想・・)なんて言っていましたが、スポーティーなゴルフでした。力強い握手と笑顔に緊張が緩みます。まず最初は、あの銘醸畑「ヴェーレナー・ゾンネンウーア」へ。ゾンネンウーアとは日時計という意味。日時計は真南に設置しないと意味がないですから、当然この銘醸畑は南向きで、JJプリュム家はこの畑の最大の所有者。この日時計はプリュム氏のおじいさんが造ったものです。高台に登って、まず方角の確認です。モーゼル川はくねくねと曲がりくねっているので、川沿いにやって来ても、もと居た場所は思わぬ方向になっています。「昨日あなたが行ったピースポートはこの丘を3回くらい越えたあっちの方ですよ」と指さされたのは、私が思っていたのと90度違う方向でした。畑の丁度側面が小さながけになっていて、土醸の様子をみることが出来ました。畑の表面にあるスレートの小石がそのまま固まったような粘岩板が幾重にも重なり、わずかな土と混じる感じの堅い土壌です。私達が普通想像する「畑の土」とは全然違います。急な斜面でも土砂くずれの心配はなさそうです。


●最高のワインで楽しいひととき

トーマスハーグ氏ティスティング

次はプリュム氏のお宅へ。この畑とお家の間にモーゼル川が流れていて、その2つを結ぶ橋がすぐそばにあります。御手元にJJプリュム家のワインラベルがある方は見てみて下さい。この風景がそのままラベルに描かれているでしょう?
←プリュム氏の立派なお屋敷に通されると奥様が迎えてくれました。案内されたお部屋は写真でしか見たことのないようなクラシック・ヨーロッパ調。玄関だけで畳10畳位あり、壁には西洋のブルジョアの家に見られる鹿の角がゆうに10以上。素晴らしく手入れの行き届いたお部屋の天井は、葡萄の房が型どられた飾りがあり、アジアの端からやって来た私達は、あまりの美しさにしばしぼう然・・。

プリュム氏自らが次々とワインを開けてくれます。中でも95年のシュペトレーゼの、フレッシュな酸を失わずに落ち着きも合わせ持ったハーモニーにはうっとり。また、アウスレーゼもたっぷりの甘さがあるのにしつこくない。「生産者によってはアウスレーゼに貴腐の風味を持たせる場合もあるが、私はしない。貴腐があると、食事の邪魔になるから」とおっしゃいます。「え?食事にアウスレーゼを合せるんですか?」と質問すると、「ジビエ※には、力強い味わいのアウスレーゼが良く合うよ」とのお返事。やっぱり普段からワインが食卓にあるというのはこういうことなのだと実感。「今度試してごらんなさい」と言われても・・「日本では普通の家庭ではジビエは手に入らないですねえ」と言うと、今度はプリュムさんが「おや、そうなの?」(笑)。そこで、奥様にドイツワインを使った、日本でも作れるレシピを教えて貰いました。
(※ジビエ・・鹿、猪、など、家畜でなく狩猟で得る動物の料理)

コブレンツ出発からしばらくたつと、正に超急斜面の畑が見えてきました。今まで「斜度70度」なんて聞くと「いったいどうやって植えてるの?」と思っていましたが、実はとっても狭い段々畑状になっているんです。一つの段に2〜3列くらいしか樹が植わっていない畑が、斜面(というか崖っぷち)を作っています。この畑には本当にびっくりしてしまいました。もちろんいくらモーゼルでも、こんな畑ばっかりではありませんが。


---JJプリュム家奥様直伝---

牛肉のワイン煮込み
  1. 鍋を熱し、油をひき、塩・コショウで下味をつけた牛塊肉の表面を焼く。
  2. タマネギ、ニンジンなどの香味野菜を適宜切り、一緒に炒める。
  3. モーゼルワイン(プリュム家ではアウスレーゼでするそうですが!、QbAでもいいそうです)を鍋に注ぎ、弱火でコトコト煮る。
  4. ワインの量が最初の10分の1くらいになるまで煮詰める。
  5. 最後に生クリームを入れ、味を整え出来上がり。

良く赤ワインでならこんなお料理を造りますが、モーゼルの甘口ワインで造るなんてびっくり!でも聞くところによると、リースリングのスープなんていうのもあるそうですよ。

プリュム氏、別のワインを1本あけたところで、コルクの匂いをかいで奥さんに 意見を求めます。みんなについで飲んでみましたが、大丈夫でした。「人工コルクは使わないんですか?」と聞いたら、やはり伝統ある蔵元らしく「とんでもない」とのご意見でした・・。

お料理の話やワインの話、はては日独両国の外国語教育にまで話題が及び、本当に楽しい時間があっと言う間に過ぎました。今度は奥様の運転で駅まで送ってもらいました。乗る電車はベルギー行き。「今ではEU諸国の人たちは行き来が自由でいいですね」と言うと、「いい面も悪い面もありますよ。麻薬の取り締まりが緩い国もあるので、ドイツの若者がそんな国に買いに行ってしまうの」との事。外国との行き来が自由になるというのは、良いことだけでなく、悪いことも自由に行き来してしまうことなんだなあと思いました。


●次はザールのワグナー家

電車に乗って20分。降りる駅はトリアー。ワインや葡萄栽培に関する教育・研究機関もあるこの町は、ローマ時代の遺跡が多く残っていることでも有名です。ポルタ・ニグラ(黒い門)と呼ばれる遺跡は町の中心の歩行者天国にあります。ぶらぶらして電車の時間に駅に戻りましたが、待てど暮らせど電車が来ない。駅員さんに聞くと、「この電車は土日しか走ってないよ」とのこと。ぼけーっと1時間後の次の電車を待ちました・・。しかも、この間、次の訪問蔵のワグナー博士家 に電話をしても全然出てくれなくて焦りました。この電話で出なかったら、もうタクシーを飛ばして行こう、と思った最後の電話にやっとワグナー氏が出てくれたので、次の電車で行くことを伝えました。

ヴィリシェーファー夫妻

ようやく乗り込んだ電車は、20分ほどで、Dr.ハインツ・ワグナー家のあるザールブルグに到着。この駅でも当然ながらワグナー博士はすぐに私達を見つけてくれ(私達以外にこのドイツの奥地にまでやってくる東洋人がどこに居よう?)お迎えの車に。ワグナー家は駅の真後ろ、徒歩30秒の位置なのですが、このワイナリー見学をコーディネートしてくれた方が、「日本人は荷物が多いから車で行かないとだめだ」と教えてくれたそうです。しかし、私達の異様に少ない荷物(2人で小型ピギーバック1個とリュック2個)に、「荷物はそれだけ??」。(私、省荷物の達人を自負していて、海外旅行はいつも国内2〜3泊用のバッグで行ってます。みんな驚きますが。

車はあっという間にワグナー家のお屋敷に。大きな納屋や裏庭があって、ワイナリーというのは農家なんだなと実感します。かわいいアヒルの表札の玄関から入ると、しーんと静まり返ったお家。古いお家ですが、大切に使い込まれた愛情を感じるお宅です。ワグナー博士はきっと60歳は越えていると思いますが、ジーンズが良く似合うおじさまです。

荷物を置いて、まずザールブルグ観光に連れていって貰いました。まず、山の上の廃城に。塔の内部には階段がついており上にあがれるようになっています。ここから見るとザールブルグの町が360度見渡せ、ワグナー家の銘醸畑ラウシュも一望できます。ボクシュタインの畑は丘の向こう側斜面だということで、残念ながら見えませんでした。「こんな急な栽培地だし、多くの農家は採算があわなくてどんどん廃業しているよ。ザールブルグの15キロ先はルクセンブルクなので、若い者はルクセンブルクに働きに行ってしまう。」と寂しそうでした。

「多くのワイナリーや葡萄栽培農家が廃業している」というのは、前日に訪問した蔵の方も良く言っていました。真摯にワイン造りに取り組むことによって競争力をつけて評価を上げ、この急斜面での手作業に見合う収入がなければ、確かにこの厳しい土地ではワイン作りを続けていくことは非常に難しいと思いました。「畑の隣の所有者も廃業するんだ」とおっしゃるので「買うんですか?」と聞くと、「(季節労働者を除いて)私一人でやっていくには、今の所有面積(9ha)で十分だよ。これ以上はできない。」とのこと。栽培チーム、醸造チームで造ることが多い新世界のワインに対して、モーゼルのワイナリーは真の意味で「家業」なのです。

そのあとは小さなお店が並び、ザール川に流れる小さいけれど水量豊富な滝が流れるしっとりした静けさが漂う旧市街を散策。ザール川は、モーゼル川の支流の一つ。モーゼル川も思っていたより小さかったので、このザール川はさらに小さな川でした。

次はラウシュの畑に。道を隔てた上と下では葡萄樹の様子が違います。良く見ると上の畑は伸びた枝のいらない部分を切り落として添え木にちゃんと結わえてあります。下の畑はまだこの作業が終わっていないのでぼうぼうに見えるのです。「この作業をした方としていない方では、葡萄の実の成長が違うんだよ」と教えてくれました。見比べると、数日前に作業をしたばかりというのに、確かに実は 微妙に大きさが違いました。こうした作業は季節労働者に任せているそうで、多くはポーランドの人とのことでした。


●「仙人の住む」セラー

ヴィリシェーファー セラー

さて、ワグナー博士のお宅に戻って、まずは地下セラーへ。セラーに続く階段は石造りですが、長年の使用で角が丸くなっており、歴史を感じさせます。この丸まった階段はどんな言葉より強い説得力を持っていました。ワグナー家のセラーはザール最大のものだそうで、まるでトンネル!奥行き30メートルほどの長さのセラーが4本あり、横に通る道で繋がっています。ぼんやりとしたあかりに浮かぶ樽や熟成中の膨大な量のボトルは幻想的でもあり、しーんと静まり返ったこのセラーには感動しました。ワインの妖精、いや、「仙人」が住んでいそうでした。数年後に出荷するというゼクトも、まだコルクではなくビールの王冠のようなフタがはめられ、すやすやと眠っていました。きっと何年後かにこのゼクトを売る機会に恵まれた時、「ああ、あの時に眠っていたワインだな」と、感動するだろうなあと思いました。

お部屋に戻ってティスティング。ワグナー博士のワインは「酸が強い」という評論家もいるらしいのですが、少なくとも、今回試した2000、99年ヴィンテージでは私は全くそう思いませんでした。濃く充実した果実味は優しく上品な甘味となり、土壌を反映するミネラル感、酸は「突出している」どころか、ワインの味わいの要素をまとめているような印象で、バランスがとれています。どのワイン、どのランクも本当にきれいな味わい。残念ながら帰りの電車の時間が迫っていたため、あまりゆっくりとティスティングする時間がなかったのですが、博士は、「これを持って帰って」と言って、なんとアイスヴァインをお土産に持たせてくれたのです!「涼しいところに置いておいてね」と何度も念を押す姿は、まるで我が子を送りだすようで、ワグナー博士のワインに対する深い愛情を感じました。このワインは今当店のセラーで眠っていますが、なかなか開けられそうもない記念の1本になりました。

今度は3人で歩いて駅まで行きました。今までいつも遅れてきていた電車が、今 回は時間どおり来ました。小さな駅なので、電車に乗り込むとすぐに出発。ずっと手を振っていてくれるワグナー博士が小さくなっていきました。3時間ほどし かいなかったのに、ちょっとうるるん滞在紀な気分になってしまいました。

●いよいよラインガウだ!

ワグナー博士家をあとにし、モーゼル川に別れを告げ、ローカル線を乗り継いで着いたのはリューデスハイム。ここはライン川観光のツアーでも良く訪れる町なので、行ったことがある方もいるかも知れません。ここまで来れば日本人がいっぱい居るだろう、という予想に反し、会ったのは1組の個人旅行者らしき人のみ。その晩は、つぐみ横丁という飲み屋やレストランが軒を連ねる通りで遅い夕食を取りました。ウィーン風カツレツをリースリングクリームで食べるという一品がとてもおいしかったです。プリュム家の奥様に教えて頂いたリースリングの煮込みもきっとこんな感じのまろやかさなんだろうなあと思いました。リューデスハイムまで来ると、ワインはラインガウのものに替わります。知らない生産者のものでしたが、90年のアウスレーゼがグラスであったので頼んでみました。6〜700円くらいと安かったですが(それでもグラスワインのリストの中では一番高かった)まだ充分に若さもあり、また、モーゼルのリースリングとは一味違う芳醇さがありおいしかったです。

ケスペルヘアさん

さて、ドイツ到着3日目は、ラインガウ観光とワイナリー巡り。約束の8時半より少し早く、今回のワイナリー見学ツアーを現地でコーディネートしてして下さったケスペルヘアさんがホテルにお迎えにきてくれました。彼は、世界中の顧客(輸入商)に現地のワイン情報を教え、輸出入をコーディネートする仕事をしています。とても大柄な方で、ワインというよりはビール派のような印象をもちますが(笑)、名刺には、「シュバリエ・デュ・タストヴァン」(利き酒騎士)。わあ、すごいよ〜!今日はどんなお話が聞けるか楽しみです。


●シュペトレーゼ発祥のヨハニスベルク城

ヨハニスベルク

乗り心地の良いBMWはまるで流れるように葡萄畑の中を走ります。「あそこに見えるのがシュロス・ヨハニスベルク。丁度いい写真ポイントだから車を停めてあげよう」と言われ、1枚写真を撮りました。モーゼルの急斜面の畑とは全然風景が違い、とても広大。その中にあまり交通量のない道路が通っていて、とても気持ちの良いドライブです。

しばらく走るとさっき写真を撮ったシュロス・ヨハニスベルクの正面に着きました。ここは、817年にカール大帝の葡萄の植え付け令によって葡萄畑となり、その後ベネディクト派の修道院となったところです。

そして、この城が何より有名なのは、1775年にここでシュペトレーゼが発見されたからなのです。ご存知のようにシュペトレーゼとは遅摘みにして糖度があがった葡萄で作られるワイン。当時、収穫は土地の領主の判断が必要でした。それは葡萄をもって領主の所に馬を走らせ、OKが出れば収穫するというやり方だったのですが、1775年の使者が帰る途中で病気になり、例年より城に帰るのが遅くなったのです。この遅れで葡萄は通常の収穫期を逃してしまいましたが、出来上がったワインが素晴らしいものだったのです。こうしてシュペトレーゼが発見されました。ここは高台になっているので、葡萄畑とライン川を見渡せる素晴らしい景色です。目の前はラインガウ、川を挟んで左手はラインヘッセン、右手の後方はナーエと3つの産地が一度に見えます。また、畑の中には「北緯50度」の立て札もありました。


●キューン家は要チェック!

プリンセス サンドラさん

次の目的地はキューン家。このワイナリーは最近数々の海外グルメ・ワイン雑誌で高く評価されており、日本でもこれから急激に知名度が上がることは間違いありません。当店でもうまく行けば、この秋頃から取り扱いが出来そうです。色とりどりの花が咲き乱れる美しい白壁のワイナリーでは、キューン家のお嬢さん、サンドラさんが応対してくれました。彼女は2000年のラインガウ・ワイン・プリンセスで、笑顔がとても愛らしい方です。ちなみにドイツでワインプリンセスに選ばれるには、美しいだけではなく、ワインの専門知識も必要なんですよ。この4月には東京でのラインガウ・プロモーションもこなしたというサンドラさんが、ボトルを開けてくれます。

キューン家は1786年からのワイン作りの歴史があり、現在の当主ピーターさんで11代目。ピーターさんはこの地区で葡萄の病気や害虫による被害を食い止めるためのパトロールグループのメンバーで、自身のワイナリーだけでなく、地域全体のワインの質向上のためにも頑張っています。また、ケスペルヘアさんによると、ピーターさんは設備投資を惜しまない方で、最新機器を導入してワイン作りを行っているそうです。その情熱と先進性は、スタイリッシュで現代的なラベルや、人工コルクの導入等に見てとれます。

ワインはQBA〜アイスワイン、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)で作った珍しい白!も試しました。モーゼル三昧だった舌には、キューン家のラインガウワインには非常に厚みを感じました。しかし、ぼってりした感じではなく、あくまでエレガント。シャープな印象のラベルは、味をそのまま表現しているように思いました。酵母は基本的に純粋酵母で、どうしても発酵が進まない時にだけ培養酵母を使うそうです。伝統を守りつつも、合理性も持ち、新しい事にもチャレンジしていく有能な生産者という印象を強く持ちました。この蔵はきっと数年のうちに大変な名声を得るでしょう。

ステンレスタンク

カビが全くない(普通は長年の湿度でセラーはカビがはえています)清潔そうなセラーに案内して貰うと、今まで見てきたセラーとあまりに違って、小さな工場のようにぴかぴかのタンクがずらり。まるで衣類乾燥機のような小さなものから、見上げるほどの大きなものまで、作るワインの量やランクで使い分けるそうです。また、去年カリフォルニアで見たのと同じ、ラベル貼り機もありました。瓶詰め機だけは自前のものがないそうで、その時期だけ借りるそうです。

キューン家では、お花が咲き乱れる美しいお庭でのテイスティングを心から楽しみました。サンドラさんとも年齢が近いせいか、リラックスしてお話できて、印象に残る訪問になりました。帰りに、ワイン・プリンセスのポストカードにサインを頂きました。


●銘醸畑シュタインベルガー

お次は銘醸畑シュタインベルガー。ここは1135年に創建されたクロスター・エーベルバッハ(エーベルバッハ修道院)の畑。現在はクロスター・エーベルバッハを管理する州営醸造所が単一所有しています。この畑はドイツでは珍しく、周囲を石の壁で囲まれています。この壁に沿っても葡萄樹が植えられていて、石壁が太陽の熱を蓄えるので葡萄は更に良く熟します。この壁沿いの葡萄を原料としたワインはマウアー・ワイン(壁ワイン)と言い、オークションでのみ売られるそうです。畑のなかに小さな休憩所があり、ワインを飲むこともできます。

「ドイツのリースリングは、トロッケン(辛口)と書いてあっても、どこかに甘さがあるような気がするんです」と私が言ったことをケスペルヘアさんが思い出し、「それは日本に本当に辛いトロッケンが輸出されないからだと思うよ。これを試してみなさい」と言われてここで飲んだワイン(ワインの詳細は忘れました。ごめんなさい)は、ちゃんと辛かったです。ピースポートのハールトさんもおっしゃっていたように、やっぱり輸出市場では今だ「ほのかに甘いドイツワイン」が期待されるからなんだろうなあと思いました。

粘土質土壌

この畑の一角は、州営のモニタリング地域になっていて、様々な葡萄品種が植えられています。良くみると、葉の切れ込みが深かったり浅かったり、円みを帯びていたりギザギザだったりとそれぞれ違う形をしていました。また、人工的に雨を降らせてデータを集めたりもするそうです。実験的に畝の一列置きに芝生を植えている場所もありました。そうそう、この畑にきて一番最初に「何か違う」と思った原因は土壌でした。昨日まで見てきたモーゼルのスレートは全くなく、普通の作物の畑の土のよう。ワインアドバイザー試験の時に、土壌を暗記した覚えがありますが、あれは試験のための暗記であって、やはり実際に土壌の違いを目にするまではしっかりと頭に残らないような気がします。今回自分の目で見たことで、私は一生忘れないと思いました。


●エーベルバッハ修道院

エーベルバッハ

さて、次はこの畑を所有するクロスター・エーベルバッハへ。ここは12世紀に最も影響力を持った、厳格な禁欲主義シトー派の修道院で、ショーン・コネリー主演の「薔薇の名前」という映画が撮影された場所でもあります。

現在は修道院としての機能はなく、州営のワイン販売機関で観光スポット。ワインのオークションが開かれたり、カルタワイン(ラインガウの伝統的な味わいを持つワインとして認定されるワイン)の承認が行われたりもします。カルタワインのトレードマークの窓は、この修道院の窓なのです。耽美な回廊の奥にある礼拝堂は、この日、音楽祭に使われていました。最上級のワインを熟成させるために使われた部屋には、ロウソクのあかりが揺れる中たくさんの樽がおかれてちょっと怖い感じ。修道士達が寝ていた部屋は講堂のような大部屋で、ここで床に直接寝ていたそうです。そして4時間おきに礼拝をしていたんですって。厳しい生活だったんですね。ここにはワインをテイスティングできる販売所があり、さっき見たシュタインベルガーのワインも売られていました。私はリースリングのジュース(ワインになる前のもの)を買いました。帰国してから飲みましたが、とっても甘くてまるでアルコールのないアイスヴァインのようでした。日本で一般的に売られている「葡萄ジュース」とは全く別物です。


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水滴の葉

この日の朝、ツェルティンゲンの町(村?)を散歩していたら、葡萄の葉っぱに朝露がかかっていました。ぎざぎざのひとつひとつにポチョンと水滴がついていてかわいらしいんです。


ツーショット縦

うしろの畑がヴェーレナー・ゾンネンウーアです。私の左側の土に注目。いかにも硬そうでしょう?


ツーショット縦


畑の表面はこういう感じです。石だらけ。


ツーショット縦

現在の当主、Dr.マンフレッド・プリュム氏と奥様、私。


ヴィリ シェーファー看板

山の上の廃城から撮ったワグナー家。左寄りに写っている茶色のお家。手前に線路があります。ボクシュタインQbAのラベルはこのお家が描かれています。


ハールト畑2

ラウシュの畑の前で、Dr.ハインツ・ワグナーと主人のツーショット。


ハールト畑2

これが銘醸ラウシュの畑です。このアングルだと何となく、ユーモラスな形です。


ハールト畑2

思ったより小さなザール川。正面の丘の反対側斜面がボクシュタインの畑です。


シュロスリーザー葡萄畑

どれだけ斜面が急か、この写真で伝わると思います。斜面の下に見える川がモーゼル川です。他の地域、国のワインの生産に携わる人々が訪問した際、この斜面を見て「モーゼルワインを飲むのはいいが、働くのは遠慮したいね。」と言われるそうです。この急斜面をも克服する労力が素晴らしいワインを産みだします。


ハールト畑2

膨大な量のワインが眠りについています。


シュペトレーゼ

私達の後ろが、「シュペトレーゼ発見」となった記念の像。手に葡萄の房を持っています。


キューン家

かわいらしい外観のキューン家。


グラスファイバータンク

キューン家のセラーは、ご覧のとおり設備もぴっかぴかの最新です。


あずまや

シュタインベルガーの畑の中にある小さな休憩所。ここではグラスでシュタインベルガーのワインを楽しむことが出来ます。


モニタリング地域

モニター地域の立て看板。


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