各国のワイン法


ワイン生産国の多くは「ワイン法」という法律を持っており、それぞれのワイン造りができる生産地域、使用できる品種、栽培法、最大収穫量、醸造法、熟成条件、アルコール度、試飲検査などの細かい取り決めをしています。

その取り決めが細かければ細かいほど、格が高い、と言うことになります。

しかし、一番大切なのは格付けにとらわれすぎないことです。「質より量」を考えて造った格上のワインより、「量より質」を考えて造った優良生産者の格下のワインの方が実際の品質は上であることは多々あります。


【フランス】

名実共に世界一のワイン大国フランスは、そのワイン法も各国のお手本となっています。

格付けは、上から

●AOC(原産地統制呼称ワイン)

●AO VDQS(上質指定ワイン)

●ヴァン・ド・ペイ(地酒)

●ヴァン・ド・ターブル(テーブルワイン)


「AOC」の中にも様々なものがあります。

地方名AOC(例 ボルドーAOC、ブルゴーニュAOC)

さらに小さな地区に限定されたAOC(例 ボルドー地方のメドックAOC)

さらに小さな村名AOC(例 ボルドー地方のメドック地区のサン・ジュリアン村AOC)

ブルゴーニュ地方では更に畑に格付けがあり、1級畑AOC(例 ジュブレ・シャンベルタン村のカゼティエ畑)

特級畑AOC(例 ジュブレ・シャンベルタン村のシャンベルタン畑)


・・・などがあります。

つまり、一口にAOCワインと言っても、広大な地域のAOCもあれば、とても小さいAOCもあるという事です。

一般的に小さな区域のAOCの方が規制も厳しく、格上だと言えます。(価格で言えば数百円で買えるものから、何十万円もするものまであるということ。)


AO VDQS・・生産量自体がごくわずかで、日本にはあまり入ってきません。AOCより、規制が若干緩くなります。

ヴァン・ド・ペイ・・地酒と訳されますが、かなり広域な範囲で造られるワインで上の二つより規制は緩いです。しかし、手頃な値段で割合高品質な物も多くあり、最近脚光を浴びてきています。

ヴァン・ド・ターブル・・ランク的には一番下ですが、手頃な値段ですし、各ネゴシアン(ワイン商)によるブレンドワインなどは、消費者の好みを良く分析して造られており、気に入った物が見つかればお買い得です。


【イタリア】

イタリアは世界第一位のワイン生産量を誇る国。

格付けは、上から

●DOCG(統制保証付原産地呼称ワイン)

●DOC(統制原産地ワイン)

●IGT(ぶどう品種名、生産地名付ワイン)

●ヴィノ・ダ・ターヴォラ(テーブルワイン)


DOCG・・バローロ・バルバレスコ・キャンティ・アスティー等、98年現在で18銘柄。これからもDOCから格上げされて増える見通し。

DOC・・ソアーヴェ・オルヴィエート・エストエストエスト等、98年現在で278銘柄。

IGT・・生産地名+ぶどう品種名を表示。産地エリアがDOCよりやや緩やか。ヴィノ・ダ・ターヴォラの上級品と言える格付け。

ヴィノ・ダ・ターヴォラ・・テーブルワイン。最下位に位置するVdTですが、最近スーパーVdTと呼ばれて人気を呼んでいる、優れたワインも出てきています。格付けによる、規制のあるワイン造りを嫌って、独自の考え方の品種や醸造法等を取ったため、上級の格付けに当てはまらなくなったワインで、こだわりのあるワインと言えます。さしずめ、イタリアの頑固オヤジのワインというところでしょうか?


【ドイツ】

ドイツの格付けは、生産地域を元に考えられたフランス、イタリアとは考え方が違います。

ドイツは葡萄栽培の北限ともいえる北国。ですから、葡萄が熟す、と言う ことは非常に大きな価値を持つのです。

ドイツの格付けは葡萄の熟度によって決まります。

格付けは、上から

●Qmp(高級ワイン)

●QbA(上級ワイン)

●ラントヴァイン(地酒)

●ターフェルヴァイン(テーブルワイン)


Qmp・・39ベライヒ(地区)限定。補糖は不可。

この中で更に次の6つに分類されます。

(カビネット)・・・良質ワイン

(シュペトレーゼ)・・・遅摘み葡萄によるワイン

(アウスレーゼ)・・・房選り葡萄によるワイン

(ベーレンアウスレーゼ)・・・粒選り葡萄によるワイン

(アイスヴァイン)・・・完熟果粒を樹についたまま氷結させ搾汁したワイン

(トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ)・・・貴腐菌がつき干しぶどう状になった果粒を粒選りしたワイン

それぞれ、醸造前の葡萄の糖度を測定し、クラス分けします。


QbA・・13栽培地域限定。補糖可。

ラントヴァイン・・地酒。辛口(トロッケン)と半辛口(ハルプトロッケン)のみ。

ターフェルヴァイン・・テーブルワイン。


【スペイン】

スペインは世界第三位のワイン生産国。

格付けは、上から

●DOC(統制保証付原産地呼称ワイン)

●DO(統制原産地ワイン)

●ヴィノ・デ・ラ・ティエラ(地酒・生産地名付ワイン)

●ヴィノ・デ・メサ(テーブルワイン)


DOC・・現在、リオハ地区のみがスペイン唯一のDOC。

DO・・注目の産地リベラ・デル・デュエロ、カヴァの産地ペネデスなど。

ヴィノ・デ・ラ・ティエラ・・28認定地域内で生産された葡萄を60%以上使用したワイン。

ヴィノ・デ・メサ・・テーブルワイン。


スペインではこのほか熟成ワインにも格付けがある。熟成の長さの違いで格付けされ、上から

●グラン・レゼルヴァ

●レゼルヴァ

●クリアンサ

●シン・クリアンサ または ホベン


【アメリカ合衆国】

アメリカでは1983年にワイン法を制定しましたが、ヨーロッパ諸国のような原産地呼称制度は設けられていません。アメリカのワイン法では産地の区分け、品種や収穫年度の記載等を規定しています。

具体的には次のとおり。

●産地の表示

(州名表示)・・その州で収穫された葡萄を75%以上使用。(但しカリフォルニア州では100%)

(郡名表示)・・その郡で収穫された葡萄を75%以上使用。

(AVA表示)・・AVA(政府認定栽培地域)で収穫された葡萄を85%以上使用。

(畑名表示)・・その畑で収穫された葡萄を95%以上使用。


●ぶどう品種の表示

表示されたぶどうを75%以上使用。

●収穫年

その年の葡萄を95%以上使用。

Copyright 1996 kurabisyu inc.